ファシアとは|慢性痛の原因?|

こんにちは!姫路にある肩こり、腰痛、膝・肩痛改善のための体作り専門店コンディショニング&フィットネススタジオAlterのHirokiです。

最近、耳にすることが増えた【筋膜リリース】の対象組織でもあるファシアについてです。

Fasciaとは?

Fasciaは【ファシア】と言います。

体全体に張り巡らされている「膜」のことです。臓器、骨、筋肉、脂肪、靭帯、血管、神経などの組織を覆うこの膜は筋膜リリースの対象となる組織も含まれています。ファシアはすべての組織同士を分割し、かつ連結させています。ファシアが体を滑らかに動かしたり、支えたりしているおかげで、私たちの身体はいろいろな動きをすることが出来ます。

よくセーターで例えられます。セーターを着て、腰の方を引っ張ったとすると、肩の方まで服が伸びませんか?

体をつなげている組織がファシアになります。

Fasciaの構造

  • コラーゲン繊維: ファシアの主要な構成要素で、強度と柔軟性を提供します。柱のようなものになります。
  • エラスチン繊維: 伸縮性を持ち、ゴムのようなものになります。
  • 基質: 線維の間を埋めているゲル状の物質で、栄養素の輸送と廃棄物の排除を助けます。
  • 線維芽細胞:コラーゲン線維を作る役割があります。

わかりやすく例えると家のようなもので、コラーゲンは柱、エラスチンは壁、基質が室内の空気というような感じです。

ファシアの動きが悪くなるとき

そんな体を張り巡らしているファシアですが、動きが悪くなることがあります。

動きが悪くなるということは柔軟性が乏しくなり、関節の可動性が悪くなる。動きが悪くなることで痛みが出たりすることがあります。

ファシアの動きが悪くなる、つまりファシアの柔軟性が低下したり、機能が制限されたりする原因はいくつかあります。これらの原因は、生活習慣、身体的条件、外傷など、さまざまな要因によって引き起こされることがあります。

1. 不十分な運動

  • 運動不足: 定期的な運動不足は、ファシアの硬さや柔軟性の低下を引き起こす可能性があります。運動はファシアの健康を維持し、柔軟性を高める重要な要素です。

2. 過度な運動や不適切な運動

  • 筋肉の過剰使用: 特定の筋肉群の過剰使用や不適切な運動は、ファシアにストレスを与え、硬化や緊張を引き起こすことがあります。

3. 長時間の同じ姿勢

  • 座りがちな生活: 長時間同じ姿勢でいること(例えば、長時間座っていること)は、ファシアの緊張や硬化を引き起こすことがあります。

4. 外傷や怪我

  • 怪我や外傷: 打撲、捻挫、筋肉の損傷などの外傷は、ファシアの損傷や機能障害を引き起こすことがあります。

5. 加齢

  • 年齢による変化: 加齢により、ファシアの柔軟性が自然に低下することがあります。

6. 脱水

  • 水分不足: 十分な水分を摂取しないと、ファシアの柔軟性が低下する可能性があります。

7. ストレス

  • 心理的ストレス: ストレスは筋肉の緊張を引き起こし、それがファシアに影響を与えることがあります。

8. 栄養不足

  • 不適切な栄養: 栄養不足は、ファシアの健康に悪影響を及ぼす可能性があります。

ファシアの動きが悪くなると、痛み、可動域の制限、筋肉の機能障害などが引き起こされることがあります。

では、このファシアの動きが悪くなることでどうして痛みが出るのか?

ファシアと痛みの関係

ファシアの動きが悪くなることで痛みが発生する機序は、いくつかの要因によって説明されます。ファシアは体全体を覆う結合組織のネットワークであり、筋肉、骨、内臓、神経などを包み込んでいます。ファシアの健康と機能は、体の動きや痛みの感覚に大きく影響を与えます。

1. 緊張と硬化

  • ファシアの緊張: 運動不足、長時間の同じ姿勢、ストレスなどにより、ファシアは緊張し硬化することがあります。硬くなったファシアは筋肉の動きを制限し、痛みを引き起こす可能性があります。

2. 微小循環の障害

  • 血流の制限: ファシアの硬化や緊張は、周囲の組織への血流を制限することがあります。これにより、筋肉や他の組織が十分な酸素や栄養を受け取れず、痛みや疲労感を引き起こすことがあります。

3. 神経の圧迫

  • 神経への影響: ファシアが硬くなると、その中を通る神経を圧迫することがあります。これにより、痛みやしびれが発生することがあります。

4. 炎症の促進

  • 炎症反応: 緊張したファシアは、周囲の組織に炎症を引き起こすことがあります。炎症は痛みの原因となります。

5. 筋肉の機能障害

  • 筋肉の動きの制限: ファシアの硬化は、筋肉の正常な動きを妨げ、筋肉の緊張や筋肉痛を引き起こすことがあります。

6. バイオメカニクスの変化

  • 姿勢と動きの変化: ファシアの硬化は、体のバイオメカニクスに影響を与え、不適切な姿勢や動きを引き起こすことがあります。これにより、関節や筋肉に過度の負担がかかり、痛みが生じることがあります。

ファシアの動きが悪くなると、これらの機序により痛みが発生する可能性があります。

ではどのようにファシアの柔軟性を改善できるのでしょうか?

ファシア改善はどうすればいいのか

ファシアの柔軟性を改善するためには、いくつかの方法があります。これらの方法は、ファシアの硬化を防ぎ、その柔軟性を高めることを目的としています。以下に、ファシアの柔軟性を高めるための主な方法を紹介します。

1. 定期的なストレッチ

ストレッチの実践: 定期的なストレッチは、ファシアの柔軟性を高める最も効果的な方法の一つです。特に、長時間のストレッチやゆっくりとした動きを伴う運動などが有効です。

2. 筋膜マニュピレーション・筋膜リリース

筋膜リリースは、筋膜の緊張や制限を緩和するための手技療法です。この治療法は、筋膜の硬化や緊張を引き起こすトリガーポイントや結びつきを緩和することを目的としています。

筋膜マニュピレーションは、体の協調中心の機能を最適化し、筋膜の機能を改善することで体のバランスを整えるための専門的な手技療法となります。

これらは手を使ってファシアに直接アプローチをする方法となります。

3. 適切な運動

筋力トレーニング、有酸素運動、柔軟性トレーニングをバランス良く組み合わせることで、ファシアをしっかり動かします。ファシアの癒着や硬化は軽いストレッチで改善するものもあれば、手術が必要なレベルもあり程度によって異なりますが、予防という観点からすれば運動は必要になります。

4. 水分摂取

十分な水分補給: ファシアは水分によって柔軟性を保っているため、十分な水分摂取が重要です。

5. 栄養の改善

健康的な食事: ファシアの健康に良い栄養素を含む食事を心がけましょう。特に、コラーゲンやビタミンCを豊富に含む食品が有効です。

6. 適切な休息

十分な休息: 適切な休息によって過度な負担を減らすこともできますし、自律神経を整えることで血流を良くする効果があります。十分な休息や睡眠時間を心がけましょう。

7. 姿勢の改善

良い姿勢の維持: 長時間同じ姿勢を避け、定期的に体の位置を変えることで、ファシアの緊張を防ぐことができます。

これらの方法を実践することで、ファシアの柔軟性を高め、体の動きをスムーズにし、痛みや不快感を軽減することができます。

子供の頃と違って、加齢に伴い結合組織の柔軟性が低下してきていることに加えて体を大きく動かしたりすることが減ってしまいます。意識的に体を大きく動かす、運動をするなどファシアを意識した健康予防も大切ですね。

投稿者プロフィール

井ノ元 宏希
しなやかで軽い体を作る専門店コンディショニング&フィットネススタジオAlter代表。理学療法士歴15年。ICU〜在宅まで幅広く経験。認定理学療法士(運動器・呼吸器)、呼吸療法認定士、心リハ指導士。知っていることで悩みが解決することもあります。このブログで少しでもお力になれたらと思っています。