太もも裏の肉離れに対しての理学療法士が考えるケア方法
こんにちは!姫路コンディショニング&フィットネススタジオAlterのHirokiです。
今回お話するのは「肉離れ」についてです。
肉離れは運動不足から急に動いた時に起こることが多く、運動会で久しぶりに走る機会や、久しぶりに昔していたスポーツを行うなど「久しぶり」であったり「慣れない運動」で起こることが多いです。
今回は特に太もも裏の筋肉(ハムストリングス)で起こる肉離れについて説明します。
ハムストリングスの肉離れとは
ハムストリングスは、大腿部の後ろ側に位置する筋肉群で、膝を曲げたり、股関節を伸ばしたりする際に重要な役割を果たします。肉離れは、筋肉やその付着部の損傷を指し、ハムストリングスの肉離れは特に走る動作やジャンプ、急な方向転換時に発生しやすい怪我です。
発生頻度と、なりやすい要因
ハムストリングスの肉離れは、特にサッカーや陸上競技、バスケットボールなどのスポーツで頻繁に見られます。
発生しやすい要因としては、適切なウォームアップの不足、筋肉が硬いことや筋力のバランスが悪い、過去の怪我歴などが挙げられます。
原因とメカニズム
ハムストリングスの肉離れの主な原因は、筋肉への過度に引っ張る力や急激な負荷です。走る際の加速や急停止、方向転換などの動作が、筋肉に予期せぬストレスを与え、微細な断裂や損傷を引き起こすことがあります。
症状と診断
まず、肉離れを起こした瞬間に『ブチッ』や『バチッ』といった筋肉の断裂音が聞こえることもあります。
また筋肉に対して、曲げ伸ばしして収縮運動を起こさせると強い痛みが出てきます。
やがては切れた部分の腫れや皮下出血(あざ)が出てきます。
損傷の程度によっては見ただけで筋肉の切れた部分がへこんでいるのがわかったり、触ってみるとへこんでいる部分がわかる事もあります。
重度の場合は歩行困難や筋肉の力の低下を伴うこともあります。診断は、症状の評価、触診、必要に応じてMRIや超音波検査によって行われます。
一般的な治療方法
治療の初期段階では、RICE処置(安静、冷却、圧迫、挙上)が推奨されます。痛みや腫れを抑えるために、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)の使用が考慮されることもあります。回復期には、リハビリテーションが重要で、ストレッチや筋力トレーニングを通じて筋肉の機能を回復させます。
この治療方法は肉離れの重症度によって変わってきます。
ハムストリングスの肉離れの分類
- グレード1(軽度) 筋繊維の微細損傷
- 特徴: 軽い痛みと筋肉の機能低下が特徴です。
- 症状: 軽い痛みや不快感、運動時の違和感がある程度となります。
- 治癒期間:1〜2週間程度となります。
- グレード2(中等度) 腱膜部の損傷
- 特徴: 筋繊維の部分的断裂。明確な痛み、腫れ、筋力の低下が見られます。
- 症状: 歩行時の痛み、活動制限、筋肉の腫れや熱感。
- 治療期間:6〜8週間となります。
- 十分修復したことを確認しないで負荷をかけると、リハビリテーション中または 復帰直後に再受傷するので要注意です。
- 痛みがなくなっても完全治癒しているかはMRIでの確認が必要で競技復帰前にはMRIによる検査が必要とされています。
- グレード3(重度) 筋肉の断裂
- 特徴: 筋繊維の完全断裂。重い痛み、歩行困難、筋肉の著しい機能障害。
- 症状: 激しい痛み、歩行困難、筋肉の明らかな腫れや内出血。
- 坐骨付着部または腓骨・脛骨付着部 の損傷でアスリートでは受傷後 2週以内に手術的治療が必要な例があるので、受傷後すみやかに MRI で診断する必要があります。
- 治療期間:3〜6ヶ月となります。
簡易的検査方法
Ⅰ度:仰向けに寝て膝をまっすぐ伸ばした状態で脚を70度位までなら上げられる
Ⅱ度:仰向けに寝て膝をまっすぐ伸ばした状態で脚を30度~70度位までなら上げられる
Ⅲ度:仰向けに寝て膝をまっすぐ伸ばした状態で脚を30度位までしか上がらない
受傷後の理学療法
初期はRICE処置が基本になります。受傷後48~72時間経過後は患部を温め血液の循環を図り、損傷した組織の回復を促すようにします。
受傷した部分の痛みや筋肉を伸ばした時の痛みの改善を確認しながら可動域回復訓練のストレッチや弱った筋力の回復トレーニングを加えていきます。
スポーツ復帰においては、主治医の確認も必要ですが、患部のストレッチ痛がなくなり、伸ばされたときの筋肉の張り感が出なくなれば順序立てて練習を再開することになります。
おすすめのケア方法
ハムストリングスのストレッチ
相反抑制を使用したストレッチ方法になります。
相反抑制は自分の筋肉に力を入れながらストレッチをするため、安全に筋肉を伸ばすことができます。
おすすめ筋力トレーニング・姿勢改善
ハムストリングスに過度な力が入ったということは、ハムストリングス以外の筋肉がうまく使えていなかったということになります。
再発率が多いのもこれが原因と思っており、ハムストリングスと同様に踏ん張る力であるお尻の筋肉や体幹筋が弱っているとハムストリングスばかりに力が入ってしまいます。
必要に応じてお尻の筋肉や体幹筋のトレーニングを行なったり、ハムストリングスだけに力が入ってしまっている「姿勢」に着目して修正を行なったりします。
例えば反腰の場合はハムストリングスが普段から効きにくくなっているため、何かの拍子で急激に力が入り損傷が起きやすかもしれません。
逆に骨盤が後ろに傾いている方はハムストリングスが硬くなっているため、運動ですぐに負担がかかるといったことになります。
以上ハムストリングスの肉離れのケア方法について書きました。
アプローチとしては、ハムストリングスにだけ着目するのではなく、どうしてハムストリングスに負荷がかかってしまったのかを分析して全身を整えていくということが必要になります。
「太ももが張りやすい」「怪我をしやすい」「同じところを傷める」といったお悩みなどあり、困っているようであれば一度Alterで体の評価をさせて頂きます。ぜひご来店ください。
投稿者プロフィール
- しなやかで軽い体を作る専門店コンディショニング&フィットネススタジオAlter代表。理学療法士歴15年。ICU〜在宅まで幅広く経験。認定理学療法士(運動器・呼吸器)、呼吸療法認定士、心リハ指導士。知っていることで悩みが解決することもあります。このブログで少しでもお力になれたらと思っています。
最新の投稿
- 肩2024年9月11日体幹筋と腰痛の関係
- 肩2024年8月5日腰痛の中でも頻度の多い筋筋膜性腰痛症
- 肩2024年8月3日不良姿勢からくる肩こりについて
- 肩2024年8月2日腰痛に悩むあなたへ:整体とピラティスで腰を支える体幹を鍛えよう