理学療法士が考える腰痛の対処

こんにちは!姫路市飾磨区にある肩こり、腰痛改善の体作り専門店コンディショニング&フィットネススタジオAlter(アルター)のHirokiです。

体の悩み事でも多い「腰痛」について、理学療法士が考えるケア方法もあわせてお話します。

腰痛って身近にありますし、これを読んでいる方も一度は経験したことがあるのではないでしょうか?

一般的な腰痛についてお話していきますね。

腰痛とは

腰痛は、腰部に生じる痛みや不快感を指しますが、腰部に痛みを感じるだけでなく、その痛みが腰からお尻や下肢(足のこと)に放射することもあります。

腰痛の頻度

日本における腰痛の有病率は比較的高く、具体的な数字は年代や調査方法によって異なりますが、日本国内の調査によれば、成人のうち腰痛で悩む人の割合は30%以上と報告されています。特に働く世代や中高年層での腰痛の有病率が高い傾向にあります。

ということは成人の方でも3人に1人は腰痛で悩んでいる計算になりますが、かなり多いですよね。

ちなみにオーストラリアの研究機関の調査では日本人の成人が平日に座っている時間が、世界20カ国中、もっとも長い1日7時間ということがわかりました。さらに、腰痛以外にも座っている時間が長いほど健康リスクが上がる研究結果も次々と報告され、メンタルヘルスにも影響を与えるといわれています。

腰痛の種類

腰痛は急性または慢性のものと種類によって分類されます。

  1. 急性腰痛: 急性腰痛は、急に発症し、数日から数週間で改善することが一般的です。急性腰痛は、筋肉の緊張やストレイン、捻挫、姿勢の悪化、腰部への急な負荷などが原因となることが多いです。急性腰痛は、急に発症します。急性腰痛は、急な負荷や運動、不慣れな姿勢、筋肉の捻挫や緊張、事故などが原因となることが一般的です。急性の腰痛は、突然の強い痛みやこわばりを伴うことがありますが、多くの場合、適切な治療やケアによって症状が改善します。
  2. 慢性腰痛: 慢性腰痛は、症状が長期間(通常は3か月以上)続く場合を指します。慢性腰痛は、椎間板の問題、椎間関節の炎症、筋肉や靭帯の損傷、神経の圧迫など様々な要因によって引き起こされることがあります。

種類による分類になります。

  1. 筋肉骨格系の腰痛:
    • 腰回りの筋肉の緊張や炎症による腰痛
    • 慢性的に硬くなってくることによって重だる痛みとして感じるものもあれば、ケガのように急性に傷めてしまうことで起こる痛みの種類があります。
  2. 椎間板に関連する腰痛:
    • 椎間板と言って、背骨の骨と骨の間にあるクッションのような役割のものです。ここにも痛みの神経が通っているため、痛みとして感じることもあります。
    • 椎間板ヘルニアによる痛み:椎間板の内部のジェル状の部分が外に出て神経を圧迫することによる腰痛や放射痛が生じる場合があります。
    • 椎間板の変性による痛み:椎間板の変性や脱水により、腰部の痛みや不快感が生じることがあります。
  3. 神経根症候群に関連する腰痛:
    • 腰部の神経が圧迫されることにより、坐骨神経痛(しびれや痛みが臀部から下肢に伸びる)や脊髄狭窄症などが生じることがあります。
  4. 炎症性腰痛:
    • 炎症性関節症による腰痛(強直性脊椎炎など)
    • 他の炎症性疾患による腰痛(例えば、腸炎症性腰痛など)

これらの種類は、個々の症状や原因に基づいて診断され、それぞれ異なるアプローチや治療が必要になることがあります。

これらのうち、レッドフラッグといって、すぐに病院を受診したほうがいい腰痛もあります。

レッドフラッグ(緊急を要する腰痛)

ここに当てはまるものはすぐに治療を必要とする可能性のあるものです。

  1. 突然の腰痛の発生:
    • 突然の激しい痛みや急速な悪化がある場合です。腰痛ではなく腎性や大動脈解離などの腰とは関係ない部分の病態が腰痛として感じる場合もあります。
  2. 重篤な外傷の歴史:
    • 交通事故や重大な怪我、転倒などの外傷を経験した人が急に腰痛を訴える場合です。
  3. 発熱:
    • 腰痛と同時に高熱がある場合です。可能性関節炎のように熱がずっと続く場合もあります。併せて体温のチェックは必須です。
  4. 無意識の体重減少or増加:
    • 無明確な理由で急激な体重減少もしく増加がある場合です。この場合は腰以外の病態が含まれている可能性あります。
  5. 腰痛が夜間や休息時に悪化する:
    • 夜間や休息時に痛みがひどくなる場合は、現在進行形で炎症が起きているということになります。
  6. 神経学的症状の出現:
    • 下肢のしびれ、麻痺、排尿・排便の障害などの神経学的な症状がある場合です。おしっこが出ない、足の力が入らない場合は緊急手術の可能性もあります。
  7. 癌の既往歴:
    • がんの既往歴がある場合、脊椎に転移している可能性があります。新たな腰痛が起こった場合には注意が必要です。以前に見ていた患者さんは数ヶ月間色々な整体に行っていたのですが、最終的に整形外科に行った際に全身にがんが転移していたことが判明しました。もっと早くに分かっていたらと思う部分もありますし、整体で無責任に施術するのではなくて整形外科を薦めてあげることは必要だったんじゃないかと思うエピソードでした。

これらの症状が現れた場合、医療専門家による迅速な評価が必要です。レッドフラッグは、重大な状態を示唆する可能性がありますが、必ずしもそのような場合に限らず、詳細な評価が重要です。痛みや不快感がある場合には、医師や医療専門家に相談し、適切な評価と治療を受けることが重要です。

腰痛の一般的検査

腰痛の一般的検査になります。一つの検査で全てわかるというものではなく、色々な検査の組み合わせによって評価していく流れとなります。

  1. 病歴および身体検査:
    • まず病歴を聞き、症状や痛みの特徴、発症の経緯などを確認します。また、身体検査を行い、腰部の動きや痛みの反応、神経学的な症状などを評価します。
  2. X線検査:
    • 腰椎の骨の状態を評価するためにX線撮影が行われることがあります。これにより、骨折や変形、椎間板の状態などが確認されます。
  3. MRI(磁気共鳴画像法):
    • 神経組織や椎間板、筋肉、靭帯などの詳細な構造を見るために、MRIが使用されることがあります。MRIはX線よりも詳細な画像を提供し、椎間板ヘルニアや神経圧迫などの状態を確認するのに役立ちます。
  4. CTスキャン(コンピュータ断層撮影法):
    • 骨の詳細な構造や異常を確認するために、CTスキャンが行われることがあります。MRIとは異なり、骨の詳細な像を提供します。
  5. 血液検査:
    • 血液検査は、炎症性疾患や感染症の有無、または他の疾患の診断のために行われることがあります。

この中でも身体検査は技術や知識が必要にはなりますが、さまざまな情報を得ることができます。

腰痛の治療

一般的な腰痛の治療となります。

  1. 休息と運動制限: 急性腰痛の場合、安静にして過度な活動を避けることが勧められる場合があります。一方で、長期間の安静は筋力低下や症状悪化を引き起こす可能性があるため、傷めた部分に負担のかからないような適度な運動を行うことが重要です。
  2. 薬物療法: 痛みや炎症の軽減のために、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)や鎮痛剤が処方されることがあります。これらは痛みを和らげるのに役立ちますが、長期間の使用には臓器にストレスもかかるので注意が必要です。痛みの原因をしっかり評価して、それに対するアプローチが必要になりますが、時間がかかる場合は限定して痛み止めを使うなど良い使い方になります。
  3. 生活習慣の改善: 姿勢の改善、適切な体重管理、適度な運動療法、正しい姿勢や腰の使い方のトレーニングなど、日常生活での習慣や姿勢の改善が重要です。この部分はかなり重要なものとなります。腰痛のほとんどは骨や神経に異常のあるものではなく筋肉が硬くなっていることや姿勢が悪いことで起こる椎間板性の痛みなどになります。普段の生活習慣とても大事です。
  4. 物理療法: 熱や冷やし、電気療法、超音波療法、マッサージ、ストレッチなどの物理療法が痛みの緩和や筋肉の強化、柔軟性の向上に役立つ場合がありますが、明確な効果は示されていないのが現状です。
  5. 手術: 重度の椎間板ヘルニアや神経圧迫など、保守的な治療法が効果的でない場合には手術が必要な場合もありますが、手術は最終手段として検討されるべきです。

非常に多い非特異性腰痛症

非特異性腰痛(Non-specific low back pain)は、特定の明確な病理学的な原因が特定できない腰痛を指します。つまり、特定の椎間板ヘルニア、椎間関節炎、椎骨の異常、または他の明確な特定可能な原因がない場合に使用される用語です。

非特異性腰痛は一般的なタイプの腰痛であり、多くの人々が経験することがあります。これは特定の怪我や病理学的な異常がないため、原因が明確ではなく、多くの場合、姿勢の問題、筋肉の弱点、運動不足、ストレス、または日常生活の活動との関連が指摘されます。

非特異性腰痛の特徴は次のようなものがあります:

  • 痛みは腰部に限定されることが多いが、お尻や下肢にも放射することがある。
  • 突然の発症ではなく、痛みはしばしば時間とともに進行することがあります。
  • しばしば、特定の動作や姿勢に関連することがある(たとえば、長時間の座りや立ち上がり、物を持ち上げる動作など)。

診断には、他の潜在的な原因を排除した後に、非特異性腰痛と診断されることがあります。

治療は、上記にあるように症状の管理や緩和を目指すことが一般的でとなっています。適切な姿勢の維持、運動療法、ストレッチ、温熱療法、または物理療法などが推奨されることがあります。しかし、非特異性腰痛の場合、特定の病理学的な原因がないため、症状の管理や予防が重要です。

腰痛の中でも割合の高い腰痛となっています。

そんな頻度の高い腰痛は日頃の姿勢や筋肉のバランス、によって改善が見込まれるものになります。

理学療法士が考える腰痛の対処

これまで挙げたように腰痛といっても種類がたくさんあります。

また、「非特異的腰痛」といって最も多い「原因がわからない腰痛」もあるため原因が変われば対処方法も違うため、ケア方法が特定できなくなってしまいます。

そんな中で大切なことはなるべく「非特異的腰痛」の原因を明確にすることにあります。

以前までは有名な研究で「非特異的腰痛」が8割と報告があった為、腰痛の8割は原因不明みたいなことが言われるようになりました。

しかし、その後に発表されたガイドラインでは75%が原因がわかると発表しています。

このガイドラインの元になった研究では、「しっかりと診断した」そうです。

しっかりと体や所見をみることで腰痛の原因は7割以上はっきりします。

というわけで、対処方法としては、まずレッドフラッグと呼ばれる重大な病気の可能性がないか確認する必要があります。病院で危険な腰痛でなければ「非特異的腰痛」となるため専門家に原因をしっかり診てもらう。そうすることで原因がはっきりするために適切な対応ができます。

Alterでは医療現場で長年経験したスタッフが「しっかり分析」して、適切な施術&トレーニングを一緒に行なっていきます。腰痛で悩んでいる方はご相談でも大丈夫なのでお問い合せください。

投稿者プロフィール

井ノ元 宏希
しなやかで軽い体を作る専門店コンディショニング&フィットネススタジオAlter代表。理学療法士歴15年。ICU〜在宅まで幅広く経験。認定理学療法士(運動器・呼吸器)、呼吸療法認定士、心リハ指導士。知っていることで悩みが解決することもあります。このブログで少しでもお力になれたらと思っています。