太ももの裏が硬いことと膝の痛みの関係

こんにちは!姫路にあるコンディショニング&フィットネススタジオAlterの Hirokiです。

今回は、膝の痛みの中で、「ハムストリングス」という太ももの裏の筋肉との関連を解説していきたいと思います。

まず、太ももの裏の筋肉であるハムストリングスについてです。

ハムストリングスとは

ハムストリングスは、太ももの裏側にある筋肉群の総称です。この筋肉群は主に3つの主要な筋肉から構成されており、膝の屈曲(曲げる動作)、股関節の伸展(太ももを後ろに引く動作)に関与しています。ハムストリングスの筋肉は以下のとおりです:

  1. 大腿二頭筋(Biceps Femoris):
    • この筋肉には長頭と短頭の2つの部分があります。
    • 長頭は股関節の伸展に関与し、短頭は主に膝の屈曲に関与します。
  2. 半膜様筋(Semitendinosus):
    • 太ももの内側に位置し、膝の屈曲と股関節の伸展の両方に関与します。
  3. 半腱様筋(Semimembranosus):
    • 半膜様筋に近く、半膜様筋と同じように膝の屈曲と股関節の伸展に関与します。

この筋肉は腰痛との関連もあり、前回のコラムで解説しています。

このハムストリングスが引っ付いている場所は膝の後面になりますが、

その中でも太ももの内側についている半膜様筋と呼ばれる筋肉は、膝のクッション作用となっている「半月板」にくっついています。

半月板とは?

半月板は、膝関節内にある2つのC字型の軟骨組織です。これらは、大腿骨(太ももの骨)と脛骨(すねの骨)の間に位置し、膝関節の安定性を高め、衝撃を吸収し、膝の動きを滑らかにする役割を果たします。半月板には内側半月板と外側半月板の2種類があり、それぞれ膝の内側と外側に位置しています。

この半月板は膝のクッション作用となっており、膝の角度によって半月板が移動して体重を支えてくれる構造となっています。

半月板とハムストリングスとの関係

そんな大事な半月板と「半膜様筋」がくっついているのですが、

この半膜様筋が弱かったり硬くなってしまっていると、半月板が体重を支えるために移動するのにうまく動いてくれないことになります。

この図は膝を曲げたり伸ばしたりした際の半月板の動きを示しています。

例えば、膝を伸ばすときに半月板は前方に移動しますが、半膜様筋が硬いとどうなるでしょうか?

半月板が前にいかなくなり、膝を伸ばした際にうまくクッション作用として役割ができなくなってしまいます。

歩くときは膝が曲がったり、伸びたりの連続ですよね。1日に何千歩と続くと半月板も傷めてしまいます。

このように一見膝とは関係のない太ももの裏、足の硬さだと思っていても、膝に直接関連してくることもあります。

実際はどうなのか?

以上のところが、解剖学や運動学的にハムストリングスの柔軟性が落ちると半月板を傷めることになりますという説明になります。

では、実際に論文ベースではどうなのかになります。

大腿骨に対する脛骨の後方移動距離からみた変形性膝関節症

これは論文ではなく学会発表になりますが、矢状面X線像から後方移動距離を計測し、健常人と膝OA患者の脛骨と呼ばれる膝より下にある骨の移動距離を検討しているものになります。

健常人に比べ、膝OA患者では大腿骨に対する脛骨の後方移動距離が大きい結果となっており、後部構成体の柔軟性の低下やハムストリングスの過剰筋収縮・PCLの機能不全が原因ではないかと考察されています。

内側型変形性膝関節症患者における痛みの関連因子の検証

この論文では変形性膝関節症の方の痛みと関連する因子を検討しています。

結果は膝屈曲筋力、ハムストリングスの 柔軟性、5m歩行速度

が関連したと報告しています。

このように様々なところで報告があり、実際に統計学的にも関連していることが考えられます。

オススメのハムストリングスの柔軟性獲得エクササイズ

以前に腰痛の方でも紹介した運動です。

このほかにも応用編として、

上記にあるストレッチ方法を、「手を使わずに」行う方法になります。

これは太ももの前にある大腿四頭筋や腸腰筋といった膝の痛みを改善するために必要な筋肉のトレーニングにもなるのでおすすめの方法です。

体重がかからず膝の負担にはならないトレーニングになります。

ぜひ参考にしてみてください。

投稿者プロフィール

井ノ元 宏希
しなやかで軽い体を作る専門店コンディショニング&フィットネススタジオAlter代表。理学療法士歴15年。ICU〜在宅まで幅広く経験。認定理学療法士(運動器・呼吸器)、呼吸療法認定士、心リハ指導士。知っていることで悩みが解決することもあります。このブログで少しでもお力になれたらと思っています。