膝の内側が痛い人の原因と対処方法を解説します

最近膝の内側が痛いんです。歩きはじめや階段の時とか痛いです。

  • 朝起きた時
  • 長時間の同じ姿勢からの動きはじめ
  • 歩いている時

このようなお悩みありませんか?

それに対して

  • 年のせいと思っていたり
  • 病院で電気当ててもらってるし

というようなことになっていませんか?

その症状は良くなっていますか?

多くの方は病院で「変形性膝関節症」と病名がついていたりしますが、痛みの緩和である物療(電気やホットパックなど)やマッサージで終わっていませんか?

一時的には痛みが軽減しますが、膝の内側に負担がかかっていることには変わりありません。

実はご自身でできるケアでも負担を軽減することができることもあります。

変形性膝関節症の進行程度によってはケアや運動では対処が難しいこともありますが、簡単にできることなので一度ご自宅でもしてみてください。

変形性膝関節症とは

膝関節は、骨同士が摩擦せずにスムーズに動くようにするための軟骨で覆われています。

変形性膝関節症では、この軟骨が減少または損傷することで、その際に出てくる物質が関節の膜を刺激して痛みを出したり、膜が分厚くなることで動きにくくなったりします。その結果、動きの制限、そして日常生活での活動の困難さが生じることがあります。

非常に身近なもので日本国内でも3000万人いるとも言われています。

変形性膝関節症の病態

変形性膝関節症の病態は、一次性と二次性の要因に分類されます。

一次性変形性膝関節症の要因:

  1. 加齢: 年齢がいくにつれて、関節の軟骨が摩耗していきます。年齢による組織の老化は止めることができません。しかし、全てが老化ではなくある程度対応できることもあります。
  2. 遺伝的要因: 遺伝的な要因が変形性膝関節症の発症に影響を与えることがあります。特定の遺伝子変異は、軟骨の健康に関連しているとされています。この場合は完全な予防は難しいです。しかし、遺伝といっても小さなころからO脚など、膝に負担のかかる姿勢になってることも多いのが現実です。
  3. 体重: 過体重または肥満は、膝関節にかかる負担を増加させ、軟骨の摩耗を促進する可能性があります。この問題は大きく、変形性膝関節症に対して対応していこうと思うと外せない要因の一つになります。
  4. 性別: 女性において変形性膝関節症がより一般的に見られます。これはホルモンの影響や骨盤の形状などが関係しているとも言われています。
  5. 先天的な異常: 膝関節の形状や構造に関する先天的な異常が変形性膝関節症のリスクを高めることがあります。

二次性変形性膝関節症の要因:

  1. 外傷: 膝関節の怪我が変形性膝関節症の原因となることがあります。例えば、スポーツ中の怪我や事故によって膝関節の間にあるクッションのような組織である半月板を傷めてしまうと変形性膝関節症のリスクが高まるとも言われています。
  2. 関節炎: 関節炎の形態の一つである関節リウマチなどの炎症性関節疾患は、軟骨を破壊することで変形性膝関節症を引き起こす頻度が高くなります。
  3. 代謝性疾患: 代謝異常症や骨代謝の問題が関節に影響を及ぼし、変形性膝関節症を引き起こすことがあります。
  4. 筋肉のバランス異常:この要因は多く、股関節や体幹の筋力低下により姿勢が崩れる→O脚変形が起きてくる→膝の内側部に負担がかかり変形性膝関節症が起きやすくなる。この流れで膝が悪くなる方が多いです。また、膝関節を動かしている筋肉のバランスが崩れることで膝関節はキレイに動かなくなってしまいます。キレイに動かないということは関節部に負担がかかります。このように筋肉のバランスはとても大切になります。

以上のように変形性膝関節症といっても要因はさまざまになります。多くは原因がはっきりとしていない「一次性」とも言われており、加齢や体重増加によって徐々に膝関節に変形が生じる病態が中心となっています。その分、対応方法もあまり確立されておらずヒアルロン酸や湿布、物療(電気やホットパック)のような対症療法が中心となっています。

変形性膝関節症の頻度

厚生労働省や各種の健康調査や疫学調査によれば、日本国内における変形性膝関節症の有病率は、50歳以上の高齢者において特に高く、その割合は約20%から30%以上に達する地域もあります。加齢に伴い、この疾患の割合は増加する傾向があります。レントゲン所見上、変形性膝関節症にかかっている人は2,400万人と言われており、2人に1人の割合ともいわれています。 さらに、痛みを有する患者は820万人で、割合に直すと6人に1人となっています。かなりの割合で膝関節に痛みがある方がいます。

変形性膝関節症の診断

変形性膝関節症の診断は、症状や身体的な検査、画像診断などを含む複数の検査を行なって診断します。

  1. 症状の評価: 例えば、痛みの場所や程度、腫れ、関節のこわばり、動きの制限などを評価します。
  2. 身体的な検査: 膝関節を視覚的に評価し、触診や動きの範囲などを調べます。特定の動作や圧痛の箇所で痛みが出ている部位や病態を判断していきます。O脚の評価もこの時に行います。
  3. 画像診断: レントゲン、MRI、CTスキャンなどの画像検査を行うことがあります。レントゲンを使用することで、膝関節の変形や軟骨の減少、骨棘の形成などを観察することができます。MRIやCTスキャンは、より詳細な軟部組織の状態を見るのに役立ちます。

これらの情報を総合的に評価し、患者の症状や検査結果に基づいて医師が変形性膝関節症の診断を行います。

変形性膝関節症の一般的治療

変形性膝関節症の治療は、症状の重症度や患者の個々の状況に応じて異なります。以下は一般的な治療法となります。

  1. 運動療法: 特定の筋肉の強化やストレッチ、関節の可動域を改善するための運動プログラムが有効とされています。特定の筋肉とは、先ほどの「要因」で解説した筋肉のバランスが崩れているところです。ある程度傾向は決まっているため変形性膝関節症に多い症状に対するケア方法を後ほど述べていきます。
  2. 体重管理: 過体重や肥満は膝関節にかかる負担を増加させ、症状を悪化させる可能性があるため、体重管理が重要です。一部では体重が1kg増加すると膝関節への負担は4kg増加するとも言われています。
  3. 痛みの管理: 痛みや炎症を和らげるための薬物療法が行われることがあります。非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)や痛み止め(鎮痛剤)が一般的に処方されますが、対症療法となるため根本治療ということにはなりません。
  4. 補助具の使用: 歩行用の杖や歩行器などの補助具を使用することで、関節にかかる負担(体重)を軽減し、痛みを和らげることができます。一部足底板と言って靴の中に入れる特殊なインソールによって膝の内側への負担を減らす目的で使用することもあります。
  5. 注射療法: 関節内にヒアルロン酸やステロイドを注射することで、関節の潤滑性を改善したり、炎症を抑えたりすることが試みられる場合があります。これも対症療法に近く、変形している原因に対してではないため、根本治療ということにはなりません。
  6. 手術治療: 重度の変形性膝関節症に対しては、関節形成術、関節鏡下手術、人工関節置換術などの手術が必要な場合があります。手術は、膝関節の機能を回復し、痛みを軽減するために行われます。最終手段となるため、生活に困っているといった重度の変形性膝関節症の場合に考慮されることが多いです。(海外では早期に手術することも増えてきているそうです)

これらが一般的な治療方法となります。クリニックや病院では医療保険上、理学療法士の運動療法や理学療法は20分程度と短いものになるため、膝を伸ばす運動やちょっとしたマッサージで終わってしまうことが多いです。また、クリニックで働く理学療法士の人数に比べ患者さんがかなり多いため、理学療法が受けられず湿布だけ、電気だけになってしまうことも多いと聞きます。理学療法を受けてもらうことが大切ですが、処方されなかった。受けたくても理学療法士がいない。といった方も多いので、家でもできるケア方法をいくつかご紹介したいと思います。

理学療法士が考える変形性膝関節症のケア方法

体重減少を考える

これはとても大切です。体重が増えることでかかる膝関節の負担はかなり大きいとされています。少し肥満傾向にある方は体重減少を考えてみて下さい。体重を減らすために運動をしたいけど膝が痛くてできないって場合がありますよね。次で説明しますね。

膝に負担のかからない運動

 膝に負担のかからない運動が大切です。どんな運動があるかというと体重がかかりにくくなる「自転車」と「水中ウォーキングやプール」になります。

自転車は膝に負担がかかりそうと言う方も多いですが、自転車が痛みなく漕げるのであれば歩くよりも負担が少なくオススメの運動となります。理想は安全面からジムなどにある固定してある自転車が良いかと思います。

いずれも有酸素運動となるため体重減少にも効果があります。

これらは体重減少という意味で良いものになりますが、原因である膝関節には次に説明する運動も重要となります。

股関節周囲筋群のトレーニング

これは変形性膝関節症の方の多くで必要な運動となります。膝関節に負担がかかっている多くは股関節の筋力が落ちてくることで起きていることが多いです。股関節周囲の筋力が落ちることで代償として膝周りの筋肉が過剰に力が入ってしまいます。そうなると、関節はスムーズに動きにくくなるため半月板を傷めたりして変形性膝関節症が進行してしまうことになります。

現時点で膝に負担がないように股関節周囲の運動をしようと思うと、体重をかけないような運動がおすすめだったりします。

検査を含めて一つ紹介します。

この検査方法はそのまま運動となります。

なかなか足が上がらない方はお尻の筋肉が低下しています。

この運動をしてみてください。

大腿部周囲のリラクセーション

変形性膝関節症の方は大腿筋群が張ってしまっていることが多いです。特に外側付近の硬さの影響で脛骨と呼ばれるスネの骨が外側に捻れやすい傾向となります。

そうなってしまうと、間にある半月板に負担がかかってしまうため綺麗な関節運動を促す目的でも太もものリラクセーションは重要となります。

方法となります。

太ももの外側を大きく把持します。

そのまま、天井、床に向かって交互に太もものお肉を振る感じで上下に動かして下さい。

太ももの骨から筋肉を取ろうとするような動きになります。動かした後に膝の曲げ伸ばしが軽くなれば成功です。

学術的にいうと外側広筋と中間広筋の深部にある筋膜の周囲の柔軟性を上げる動きになります。

膝の伸展制限を取る

膝がまっすぐ伸びているってことがとても重要になります。

近年では膝がわずかでも曲がってしまっていると半月板への負担が大きくなると言われており、膝をまっすぐ伸ばす事はとても重要なことになります。

膝裏に指を置いて上下に指を動かすようにしてみましょう!解剖学的には腓腹筋とハムストリングスの間。薄筋とハムストリングスの間にある軟部組織の柔軟性を出すような動きになります。

理想は専門家にしてもらうのが良いですが、一度ご自身でも試してみましょう。

膝が伸びれば成功です。

筋肉のバランスを整えることであったり、負担となっている姿勢の修正で症状が改善することもよくあります。

もし、痛みが続いて生活に困っている場合は専門家に一度みてもらうのも解決の一つだと思っています。

気になることがあればAlterに相談ください。

投稿者プロフィール

井ノ元 宏希
しなやかで軽い体を作る専門店コンディショニング&フィットネススタジオAlter代表。理学療法士歴15年。ICU〜在宅まで幅広く経験。認定理学療法士(運動器・呼吸器)、呼吸療法認定士、心リハ指導士。知っていることで悩みが解決することもあります。このブログで少しでもお力になれたらと思っています。