リハビリにピラティスが合う理由〜歴史と共に考える〜
こんにちは!コンディショニング&ピラティススタジオAlterのHirokiです。僕自身、理学療法士として病院で15年間リハビリの仕事をしてきました。最初にピラティスを知ったのは病院時代だったのですが、初めて出会った時は感動したことを覚えています。理学療法士は運動療法という運動を使って治療を行い、社会復帰に向けて患者さんとリハビリを進めていきます。その運動療法を担う部分ですが、ピラティスがとても綺麗に当てはまるんです。ピラティスとリハビリって関係あるの?フィットネスの一つでは?と思われるかもしれません。
しかし、その歴史をひもとくと、ピラティスは実はリハビリテーションを起源として発展してきたメソッドなのです。本記事では、ピラティスの歴史にも触れながら、リハビリにピラティスが適している理由をわかりやすく解説します。
ピラティスの起源:戦争とリハビリから生まれたメソッド
ピラティスの創始者、ジョセフ・ピラティス(Joseph Pilates)さんは1883年にドイツで生まれました。幼少期、彼は喘息やリウマチ熱など体が弱かったことから、健康への関心を高め、体を鍛えることに没頭します。ヨガ、ボクシング、体操など、さまざまな運動方法を研究し、それらを融合させた独自のエクササイズを考案しました。
ジョセフ・ピラティスさんが「ピラティス」というメソッドを体系化するきっかけとなったのは、第一次世界大戦中のこと。彼は戦争捕虜として収容されていたイギリスの収容所で、負傷した兵士たちのリハビリを手助けする機会を得ました。この際、ベッドにスプリングを取り付けてリハビリ用の補助装置を作り、負傷兵たちが筋力を回復しながら安全に運動できる環境を提供しました。この発想が、現在のピラティス専用マシン(リフォーマーなど)の原型となっています。
ピラティスのリハビリ効果が支持される理由
ピラティスは、ケガや病気からの回復を目的としたメソッドとして発展してきました。そのため、リハビリに適している理由がいくつも挙げられます。
1. 体の動きを再教育するメソッド
ジョセフ・ピラティスさんは、自分のメソッドを「コントロロジー(Contrology)」と呼び、体と心を統合的にコントロールすることを重視しました。ピラティスでは、ただ筋力を鍛えるだけではなく、正しい動き方や姿勢を身につけることを目的としています。これにより、ケガの再発防止や体の不調を根本から改善する効果が期待できます。
2. 負担を最小限に抑えた運動
ピラティスは、スプリングを使ったマシンエクササイズや体重をうまく分散させた動きが特徴で、関節や筋肉に過度な負担をかけることなく、安全に運動ができます。特に、手術後や慢性的な痛みを抱える方にとって、リハビリ段階での「安全な運動」は非常に重要です。
例えば膝の痛みがある方に行うことの多いこのエクササイズです。
まず寝転んでいる状態になるため、膝に負担がかかるとされている体重が免荷されることで膝に負担をかけずに運動ができます。
また、腸腰筋といって運動を行おうとしてもなかなか力が入りにくい場所にもバネの抵抗によって上手く刺激が入り、力が入りやすくなります。
強過ぎず弱過ぎず適切な負荷をかけることで適切な筋肉に筋収縮を入れることができるため、効率良く健康的な体を作っていくことができます。
3. 全身をバランスよく鍛える
ジョセフ・ピラティスさんは、「全身をバランスよく鍛えることが健康への近道」と考えていました。例えば、足だけ、腕だけといった部分的なトレーニングではなく、体全体の筋肉や関節を連動させながら運動を行います。これにより、特定の部位への負担を防ぎ、体全体を効率的に改善することが可能です。
4. 呼吸法で心身をリラックス
ピラティスでは、深い呼吸を意識しながら運動を行います。この呼吸法は、心を落ち着かせる効果があるだけでなく、血流を促進し、筋肉の回復をサポートします。リハビリ中の方にとって、心身の緊張を和らげることは重要なポイントです。
ピラティスがリハビリだけでなく健康維持にも最適な理由
ピラティスは、リハビリを超えて、健康維持や予防的なケアにも大きな力を発揮します。その歴史的背景を振り返ると、ジョセフ・ピラティスさんが目指したのは、単なる治療法ではなく「一生健康を保つための体づくり」でした。この理念は、現在も多くの人々に受け継がれています。
ピラティスをリハビリに取り入れたい方へ
当スタジオでは、リハビリ経験が豊富なインストラクターが、ピラティスの歴史的背景とその本質を活かしたプログラムをご提供しています。一人ひとりの状態や目標に合わせた丁寧な指導で、ケガからの回復をサポートします。ピラティスを通じて、体の健康を取り戻し、長く維持していきましょう。
投稿者プロフィール
- しなやかで軽い体を作る専門店コンディショニング&フィットネススタジオAlter代表。理学療法士歴15年。ICU〜在宅まで幅広く経験。認定理学療法士(運動器・呼吸器)、呼吸療法認定士、心リハ指導士。知っていることで悩みが解決することもあります。このブログで少しでもお力になれたらと思っています。
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