肩こりと「副神経」の関係

日常で肩こりで悩んでます。姿勢が悪いとか、デスクワークが原因って言われるんですけど、、わかっているけどなかなか治せません。

そうですよね。姿勢って言われても漠然としてますもんね。

僕の場合はどうして姿勢が悪いと肩こりになるのかっていう原因がわかると納得して姿勢改善に取り組めたりします。肩こりも痛みが出る原因ってたくさんあるのですが、その中でも「副神経」との関連についてお話ししたいと思います。

肩こりは多くの人にとって馴染み深い問題ですが、その背後には副神経という重要な神経が関係しています。

副神経とは?

副神経は、首の後ろから肩にかけて走る神経で、特に肩や上腕の動きに深く関わっています。この神経が何らかの理由で圧迫されたり、損傷を受けたりすると、肩こりや痛み、時には動きの制限を引き起こすことがあります。

副神経(別名:第11脳神経または頚肩神経)は、首と肩の運動に関与する重要な神経です。この神経は、特に首や肩、上腕の筋肉を動かすのに重要な役割を果たします。副神経は首の後ろから始まり、肩甲骨の周りを通って、特定の肩の筋肉、特に僧帽筋と肩甲挙筋に信号を送ります。

※肩甲挙筋と僧帽筋は肩こりの原因となる筋肉です。

副神経は、首を動かしたり、肩を上げたりする動作に不可欠で、この神経が損傷を受けると、首や肩の動きに制限が生じたり、痛みや不快感が生じることがあります。

肩こりの原因

肩こりの原因は様々ですが、長時間のデスクワークや不良姿勢が副神経を圧迫し、症状を引き起こすことがよくあります。また、急な運動や事故による怪我も原因になることがあります。

神経の圧迫と筋肉の張りは関係する?

神経が圧迫されると筋肉が張る理由を理解するには、神経と筋肉の相互作用について考える必要があります。以下にそのプロセスを簡単に説明します。

神経の役割

人体の神経系は、脳から全身の各部位への指令を伝える役割を持っています。これには、筋肉の収縮や弛緩の指令も含まれます。神経は、筋肉に対していつどのように動くかを指示する電気信号を送ります。

圧迫による影響

神経が何らかの理由で圧迫されると、その神経を通る信号が妨げられます。これにより、神経が支配する筋肉に正常な信号が届かなくなる可能性があります。

筋肉の反応

神経が適切に機能しない場合、筋肉は正常に収縮や弛緩ができなくなります。これにより筋肉が過剰に緊張した状態(筋肉の張り)になることがあります。また、神経圧迫は筋肉の血流を制限することがあり、筋肉の緊張や疲労を引き起こす原因となることもあります。

痛みと不快感

神経圧迫による筋肉の持続的な緊張は、痛みや不快感を引き起こす可能性があります。この状態は、しばしば筋肉の硬直や動きにくさとして感じられます。

要約すると、神経が圧迫されると、その神経が支配する筋肉への信号の流れが妨げられ、筋肉が適切に収縮や弛緩ができず、結果として筋肉が張った状態になります。これが肩こりや腰痛などの一般的な不快感の原因の一つとなっています。

論文での報告は以下に報告があります。

  1. Peripheral Nerve Responses to Muscle Stretching: このシステマティックレビューでは、人間におけるストレッチングと末梢神経の関係についての研究が検討されています。筋肉のストレッチングが神経に及ぼす影響についての研究が含まれています​​。
  2. Peripheral Nerves to Loadingの生物学的反応: この研究によると、空間を占める病変(たとえば、筋肉、腫瘍、嚢胞など)や、むくみや軟部組織内の細胞外マトリックスの蓄積などの状態が神経圧迫損傷を引き起こす可能性があります。これは、筋肉が神経を圧迫し、それによって痛みや機能障害が生じるメカニズムを示唆しています​​。
  3. Chronic effects of muscle and nerve-directed stretching on tissue: 神経のストレッチングが筋肉組織に与える長期的な影響を調査するこの研究は、神経の介入が筋肉の可動範囲を増加させることを示しています。神経の圧迫が筋肉の緊張や機能にどのように影響を及ぼすか記載しています​​。
  4. Peripheral Nerve Compression and Pain: 末梢神経がストレッチや圧迫を受けると、痛みや機能障害が生じることが報告されています。これは、神経圧迫が筋肉の張りや痛みを引き起こすメカニズムを裏付けるものになります​​。

最新の研究から

最近の研究では、副神経と肩こりの関係についていくつか報告があります。

  1. 首の手術後に副神経損傷を起こした症例の報告:首の手術後に副神経の損傷が起きると、肩の痛みや機能障害が生じる可能性があるとしている報告です​​。
  2. 遅発性診断された副神経損傷の保存的治療:副神経損傷は、肩関節の顕著な機能障害と痛みを引き起こすと報告しています。

損傷を起こさないにしても姿勢などの問題で慢性的に圧迫をすることで副神経に負担がかかってくることで肩甲骨から肩にかけての痛みや機能に影響を起こしてしまいます。

姿勢の影響

不良姿勢、特に長時間にわたる前かがみの姿勢や首が前にある位置は、副神経周辺の筋肉に過度のストレスを与えることがあります。これにより、筋肉の緊張や圧迫が生じ、副神経の機能に影響を及ぼすことになります。

神経圧迫

長期間の悪い姿勢は、副神経を含む神経経路の圧迫につながることがあります。

これにより、肩や首の痛み、運動制限などの症状が生じることがあります。

予防と治療

適切な姿勢を維持することは、副神経に対する不要なストレスを減らし、関連する筋肉の過度な緊張を防いでくれます。

ただ単に

というよりは

とする方が納得して姿勢の改善に取り組めるのではないでしょうか?

姿勢が悪いことは良くないと分かりましたが、どのような姿勢が良くないのでしょうか?

副神経を圧迫してしまう筋肉が負担のかかる姿勢は、、

猫背姿勢

となります。

猫背姿勢の修正はどのようにする?

猫背(背中が丸まった姿勢)の改善に関する研究では、運動や姿勢訓練が効果的であると示唆されています。

具体的な研究内容を2つ挙げます。

Targeted spine strengthening exercise and posture training program to reduce hyperkyphosis in older adults: results from the study of hyperkyphosis, exercise, and function (SHEAF) randomized controlled trial

この研究では、6ヶ月間の脊椎の運動と姿勢の教育が、猫背を改善することを示されています​。

Exercise for improving age-related hyperkyphosis: a systematic review and meta-analysis with GRADE assessment

この研究でも運動が猫背の改善に効果があることが示されました​​。

これらの研究から、適切な運動や姿勢教育が猫背の改善に効果的であることが分かります。

これらの科学的根拠をもとに考えて「筋膜リリース」や「関節ファシリテーション」にて副神経と周辺組織の間の滑りを良くすることで、筋肉に力が入りやすくなります。その後、背骨の運動を行うことで、効率よく猫背姿勢のアプローチを行っていくことになります。

まとめ

まとめますと、

姿勢が悪くなる→筋肉に負担がかかる→副神経に圧迫が加わる→肩関節周囲の痛みや機能障害が出てしまう

という流れが副神経と肩こりとの関連となります。

そのために神経周囲の動きを良くする「コンディショニング」と、姿勢改善を行う「トレーニング」で肩こりを効率よく改善させることが近道と考えます。


投稿者プロフィール

井ノ元 宏希
しなやかで軽い体を作る専門店コンディショニング&フィットネススタジオAlter代表。理学療法士歴15年。ICU〜在宅まで幅広く経験。認定理学療法士(運動器・呼吸器)、呼吸療法認定士、心リハ指導士。知っていることで悩みが解決することもあります。このブログで少しでもお力になれたらと思っています。

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