良い歩行ってどんな歩行?

身体の仕組み

「歩くときは踵からついて、膝をこのタイミングで曲げて、、、、」

理学療法士として病院で勤務しているとリハビリテーション室でよく聞く言葉です。

歩き方の指導をよく耳にします

「ここで踵をつくと良い歩き方ですか?」

「膝はどのタイミングで曲げますか?」

熱心な方はよく歩き方まで意識するので、逆に尋ねられることも多いです。

その度に僕は

「自然に歩いてください」

「自然に歩くことが、今の身体にとって効率の良い歩き方になるんです」

と答えています。

少し踏み込んで考えてみます。

良い歩き方とは何でしょうか?

正常の歩き方とは何でしょうか?

教科書には正常の歩き方として、筋活動や関節の動く方向、角度まで細かく「歩き方」について書いています。

正常の歩き方はこれですって学ぶので、その正常に近づけようとするセラピストが多いですし、正常の歩き方がいいと思っている方が大半です。

では、正常の歩き方の何が良いのか、、

それは

エネルギー効率がとてもいい

ということです

ヒトは長い歴史の中で、森を追い出され、岩場で暮らすようになりました。その結果、二足歩行になり、道具を使うようになりました。道具や赤ちゃんを持ちながら長い距離を歩くことを余儀なくされたヒトは二足歩行で長距離が歩ける身体を作っていきました。

このような歴史からヒトはできるだけエネルギーを使わないように長い距離を歩くことのできる「今の歩き方」に辿り着いたのです。

エネルギーを極力使わない歩き方

それが「正常の歩き方」になります。

重心移動は極力少なくなっていて、少ないということは姿勢制御する筋肉の活動も少なくて済みます

また、重心の移動が少ないということは脳が揺れないということになります

衝撃を少なくして臓器を守ることも考えた身体の構造となっています

重心の上下移動に関してはジェットコースターのように高さを利用して推進力をつけながら、重心が上に上がるときは、わずかな筋活動で上まで重心を上げて、位置エネルギーで前に進む

要するにうまく物理の力を使ってエネルギーを使わないようになっています

これは脳や体が勝手に制御しています

ではどうして、異常な歩行が出てくるのでしょうか?

それはその人にとって、その歩き方が、現状では一番効率の良い歩き方だからです

例えば足首の怪我をしたとします

この場合、痛みもありますし怪我をした足をかばいながら歩きます。

サッカーの試合でも怪我をした人は、足をかばって歩いています。ヒョコヒョコ歩いていますよね

テレビで試合を見ていても、このかばいながら歩く方法は世界共通ですよね

怪我をした身体を計算して、そのパーツを使わない、負担をかけない方法で一番効率がいいのは何か??

その結果が「足をかばった歩き方」になります。

怪我を例にして説明しましたが、細かい筋肉が使えない、低下しているとすると、その人のパーツを総合的に考えてエネルギー効率の良い歩き方を調整するので、正常から逸脱してしまう結果となります

脳がその人の身体の能力を分析して、歩き方を決めています

逆にいうと、良い歩き方をしていないヒトは「どこかを庇っている」ということになります

その庇っているパーツを局所的にアプローチする

そうすると、歩く練習をしていなくても良い歩き方になっていきます

ここまで読んで頂いた方は分かるかもしれませんが、歩き方を良くしようと思ったとします

ウォーキングのみでは、弱い筋肉はかばわれてしまっている状態のため、別にトレーニングをしないといけません

その上で「ウォーキング」が、良い運動ということになります。

この「パーツを整える」は専門性が必要になります。

なぜなら小さな筋肉一つが硬いだけで歩行は大きく変化しますし、この原因を評価するのは様々な検査や多くの情報を行い、導かれるものになります

ちなみに理学療法士の法律に示されている目的は

「基本的動作能力の改善」

となります

動作を評価することがとても得意な業種となっているので、動作から問題点を探る、

問題点から動作を予測することは得意です

お体のことで悩んでいることがあれば近くの専門家(特に理学療法士)に評価していただくなどして、パーツを整えることを意識するようにしましょう

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