深層筋と表層筋
こんにちわ。
Alterのhirokiです。今回は健康的な体を作る上で大切な深層筋と表層筋についてお話をしたいと思います。
日々、運動学や解剖学、生理学の勉強をしていて思うことは、体の中にある組織は無駄なところがないということです。全ての組織には目的があります。
今回お話する深層筋と表層筋についても、位置関係やついている場所においても全てに理由があります。
健康的な体を維持、獲得していくにはこの深層筋と表層筋の考え方は重要となります。
- 深層筋、表層筋とは
- 深層筋やっぱり大事
- 運動不足で弱くなる筋肉は?
- 深層筋トレーニングは?
深層筋、表層筋とは
深層筋って聞いたことがありますか?
よく聞く言葉で「インナーマッスル」と呼ばれたりもしています。
何となく聞いたことがある方もいたら、全く聞いたことがなかったという方もおられるかと思います。
深層筋は名前の通り体の深層に位置している筋肉になりますし、反対に表層筋は「アウターマッスル」と言って体の表層に位置する筋肉となっています。
ただ単に、位置関係で分けているの?といわれるとそういうわけではありません。
それぞれに特徴があります。
大まかに表層筋と深層筋を分けた表になります。
まず、表層筋(アウターマッスル)から説明していきます。
アウターマッスルは先ほども言いましたが、体の表層に位置することが多い筋肉で、比較的長かったり大きい筋肉が多いです。
そのため、関節から距離が離れていることが多いです。
てこの原理でいうところの第3のテコになります。
汚い絵ですみません、、、
第3のテコの特徴としては力点が離れているため、あまり大きな力を発揮できませんが、スピードが速くなる性質があります。まさに表層筋の特徴でもある「関節運動や瞬間的に速く動かす」ことに適しています。
一方、深層筋(インナーマッスル)はどうでしょうか?
深層筋は体の深部にあり、比較的小さい筋肉となります。
深層筋に多い形は第1のテコです。
関節の近くに位置するため、シーソーと同様に安定している特徴があります。
深層筋の特徴でも書きましたが「姿勢を保持するために細かく動く」という特徴にピッタリです。
このように位置関係からしても効率よく筋肉がついていることがわかります。
深層筋やっぱり大事
では、どちらの方が大事なのか?
この質問に関してはハッキリ答えることができません。
「どっちも大事」だからです。
しかし、関節を守るという意味では深層筋がとても大事になります。
なぜなら、上の絵にあったようなテコの支点は三角形ですが、関節は三角形ではなく色々な形をしています。
また、金属ではなく組織で作られているのでグラグラした動きが常に加わると、関節は傷んでしまいますし、周辺の組織にも負担がかかってしまいます。
このグラグラを止めてくれるのが「深層筋」になります。
先ほども書いたように、関節の近くについており、常に関節の安定化を作っています。
もし、深層筋が働かなくなったらどうなるのか、、
これが深層筋が働かずに表在筋だけ働いたイメージです。
支点となる関節が安定していないため、動いている骨が上にぶつかってしまっています。
変形性股関節症や肩関節周囲炎(五十肩)の原因としても深層筋が働かないことで負担がかかってしまっているといったことも言われています。
テレビなどでよく見る野球選手などゴムチューブを使った運動はインナーマッスルを鍛えたりしています。
もし、深層筋がしっかり働いてくれたらどうなるか、、
このような感じで、深層筋が関節を安定化させます。安定化した上で表層筋が働いてくれるので、スムーズに関節運動が起きるというシステムになります。
ちなみに関節運動が起きる時は表層筋よりもわずかに速く深層筋が働いていると報告があります。
運動不足で弱くなる筋肉は?
すごく細かく作られていますよね。
人間の体は生まれてから80年ぐらい同じ体を使っていかなければなりません。
車はあれだけ精密機械なのに10年程度しか持ちません。
それだけ人間の体はうまく作られていることがわかります。
では加齢とともに筋肉はどうなっていくのか?
加齢とともに筋肉の中にある線維は変化していくとされています。
速筋と呼ばれる速い筋収縮を促す筋線維が加齢とともに弱ってきてしまいます。
つまり年を取るほど素早い動きができにくくなっていくことになります。
一方、運動不足は遅筋線維といって持久力がある筋線維が弱っていくとされています。
現代社会において運動不足は言わなくてもいいほどいろんなところで言われています。
深層筋は姿勢を保持する筋肉となっているため、遅筋線維が多く含まれています。そのため、運動不足は深層筋をより弱くしてしまうということになります。
加齢とともに素早くは動けなくなってきますが、深層筋は落ちてこないので関節は負担なく動作を行うことができますが、運動不足は逆になります。
運動不足って色々なところに影響を及ぼすんですよね。
深層筋トレーニングは?
では、この深層筋どうやって鍛えていくのでしょうか?
よく見かける重りを使ったウェイトトレーニングは表層筋トレーニングの一つになります。
表層筋であるため、筋肉の形が出やすくモチベーション維持するのにも役立ちます。
一方、深層筋は?
深層筋は負荷が弱くても収縮がしっかり入るため、収縮を意識するような運動が中心となります。
負荷量が強すぎると、その動作を完結するためにより強い筋肉(表層筋)に力が入ってしまい、関節方向が変わってしまい深層筋の力が抜けてしまうことがあります。
そんな深層筋を意識したトレーニングとして代表されるのがヨガやピラティスです。
これらの動きは深層筋が働くように表層筋に力が入りにくい姿勢を取ったり、意識したりします。
肩の場合は表層筋に力が入るまでもないくらいの負荷量で繰り返し運動を行うことで鍛えていきます。
体幹筋に関しても同様です。一般的な腹筋運動は表層筋である腹直筋(表層にあるので浮き出やすい)を使っています。
深層にある筋肉として内腹斜筋、腹横筋があり、これらの筋肉に力が入る必要があります。
「ドローイン」と呼ばれる運動です。
- 上を向いて寝転びます。(膝を立てている方がやりやすい)
- 息を吐きながらお腹を凹ませます
- 息を吸いながらお腹を凹ませます(えっ!呼吸をしながら凹ませる?)⇨ずっと凹めせておきます
この運動は地味ですが、深部体幹筋に力が入るためとても重要となります。
このようにただ運動をすればいいというわけではありません。
目的を持って、どこの筋肉を強くするのか。
表層筋、深層筋という一つの分類になりますが、トレーニングをする上でとても重要な考え方となります。
Alterではどこの筋肉が弱っているのか、適切な運動は何なのか?
そういったことをお客様と一緒に考え、健康的な体を作っていくお手伝いをしていきます。
体は機械と違って替えの効かない貴重な財産の一つです。
未来の自分に投資するという意味でも一緒に運動を開始してみましょう。
コンディショニング&フィットネススタジオAlter代表。理学療法士歴15年。ICU〜在宅まで幅広く経験。認定理学療法士(運動器・呼吸器)、呼吸療法認定士、心リハ指導士。論文執筆経験あり。関節ファシリテーションや運動器エコー、ピラティスなどを学んでおり体について悩んでいる人を運動療法で救っていきたいと思っています。