体が軽く動く関節の位置
体が軽く動く関節の位置があるのはご存知ですか?
体が柔らかいか、柔らかくないかは筋肉や関節の硬さだと思っていませんでしたか?
実は関節の位置を少し整えるだけで体の動きが変わるということがあります
僕は今までに有名な手技や著名な方の講習会、実技研修で色々なことを学んできましたが、多くの場所で関節の位置で動き方が変わるということを言っていました
関節の位置が正しいところにあり、レールに沿ってきれいに動くことで、抵抗なく軽く動かすことが可能になります
このメカニズムには関節の構造が関係してきます
関節の動きを制御する関節包
関節といっても、関節には骨、軟骨、関節を包む膜(靭帯もありますが、関節を包む膜が分厚くなったものが靭帯になります)があります
この構成体のうち動きセンサーがついているのが、関節を包む膜である「関節包」と「筋肉」になります
動きセンサーとは何かというと、関節がどっちに動いているかを感知するセンサーになります
固有感覚とも呼ばれたりします
僕たちは目をつぶっている状態で関節を動かされたりしてもどっちに動いたか分かりますよね?
暗い部屋で転ばずに歩いたりできるのは平衡感覚に加えて関節のセンサーが常に脳に情報を送っているためと言われたりしています
病院には神経麻痺などで関節のセンサーが効かない方もいらっしゃいますが、バランスを取ることが難しくなってしまいます
実際に関節のセンサーが効きにくくなることで、バランス機能が低下したり、高齢者の転倒リスクが上がったりする報告があります
この固有感覚が、脳に「関節がこの位置にあって、これだけ動いています」と情報を伝えており、
「これ以上動くと危ないです」といった情報から、筋肉へ情報を送って筋肉が動きを制御しようとします
ということは筋肉の制御と関節のセンサーはお互いに協力関係にあると言えます
では、この関節のセンサーは常に正しく作用し続けているのかということが気になります
関節のセンサーが誤作動
この関節のセンサーは加齢とともに低下するとも言われていますが、姿勢の変化によっても作動してしまうことは想像できるかと思います
作動する要素になるのが「伸長」になってきます
筋の中にある固有受容器は筋紡錘と呼ばれるもの、関節の中にある固有受容器はパチニ小体やルフィニ小体と呼ばれており、筋肉や関節が伸ばされた際に反応するようになっています
姿勢が悪いとどうなるか?
猫背姿勢で考えると、体が前に傾くことによって脊骨にある関節も通常の姿勢から考えると前に傾くことになります
前に傾くことによって、関節センサーや背中の筋肉センサーは反応してしまい、もとに戻そうとする方向に力が入り続けてしまいます
単純に関節の膜や筋肉が突っ張ってしまうということも起きますが、同時に関節のセンサーも働いてしまいます
力が入り続けるということは動きが硬くなってしまうということなので、動きが重たかったり、動きにくかったり、バランスが取りにくくなったりと、色々な場面で影響が出てしまいます
これに対して関節センサーが反応しない部分にまで関節を戻してくることで、関節の動きが軽くなります
一度試してみましょう
まず、両手を頭の後ろに置いて、体を左右に捻ってみてください
その時に見える景色や角度を覚えておいてください
その後に、姿勢を一度しっかり伸ばします。できれば顎を引いて頭の上から引っ張り上げられるようなイメージで姿勢を伸ばします
もう一度、体を捻ってみましょう
どうでしたか?体が捻りやすくなりましたか?
この文章を読んでいる方の多くは立っているか座った状態でパソコンや携帯で読んでいると思うので背骨が前に傾いている、いわゆる「猫背」になっていると思います
この猫背姿勢を少し解除することで、体は少し動きやすくなります
逆に少し動きにくい状態で毎日を過ごすと、関節や筋肉に負担が徐々にかかってくることは想像できるかと思います
体を捻る動きだけでなく、体の前屈や、肩の捻る角度など、さまざまな関節でこのように「センサーの正しい位置」というものがありますが、ピラティスでは「ニュートラルポジション」と呼ばれる姿勢になります
ピラティスやヨガでは、動きの中で関節の動きを認識しながら動かしていきます
このセンサーを整えるという意味でも素晴らしい運動だと思っています
体を軽くする要素
関節のセンサーに対するアプローチは体を軽くする要素のうちの一部です
前回ブログで書いた、癒着についても体を軽くするアプローチの一つですし、ストレッチも一つになります
それぞれ別のようでつながってきます
このように色々な知識を身につけると、対処方法も自然に頭で理解します
頭で理解すると行動に結びつきやすくなります(2020-2022年に働きながら心理学の大学で行動科学を学びました)
色々な知識を身につけることで体を軽くして人生を楽しみましょう
体は人生を楽しむための乗り物みたいなものですが、この乗り物が丈夫で高性能であれば色々なことができ、幅が増えていきます(高性能じゃなくても楽しみ方は無限大です)
Alterでは小さな変化を繰り返すことで未来の大きな変化を作っていくことを目指しています
「今」の小さな変化(努力)を行い、未来の健康へ投資していきましょう
コンディショニング&フィットネススタジオAlter代表。理学療法士歴15年。ICU〜在宅まで幅広く経験。認定理学療法士(運動器・呼吸器)、呼吸療法認定士、心リハ指導士。論文執筆経験あり。関節ファシリテーションや運動器エコー、ピラティスなどを学んでおり体について悩んでいる人を運動療法で救っていきたいと思っています。