ピラティスの用語:エロンゲーションって?

ピラティス

こんにちは!コンディショニング&ピラティススタジオAlterのひろきです。

今回はピラティスの用語でもよく聞く「エロンゲーション(elongation)」について解説したいと思います。

ピラティスの現場では、専門用語を使わなくても「背骨を伸ばしてください」「頭を天井に向けて〜」などの言葉を耳にすることがあると思います。

この「エロンゲーション」は、ピラティスを行っていくうえでとても大切な身体の使い方のひとつです。

エロンゲーションとは?

エロンゲーション(elongation)とは、
筋肉や筋膜、関節の軟部組織などが物理的に“引き伸ばされる”状態、
もしくは身体構造が“長さ”をもって配置されることを指します。

語源は英語の「elongate(引き伸ばす)」から来ており、
単に“伸ばす”という意味にとどまらず、整列・安定・分散の原理を含む重要な身体操作の概念です。

ピラティスで使われるエロンゲーションは、イメージとしては「背骨を上下に引き伸ばす」というような感覚に近いです。

とはいえ、上下に伸ばすって分かりづらいですよね。

「背筋を伸ばす」と聞くと、腰を反ってしまう方も多いのですが、
エロンゲーションは腰を反らすのではなく、重力に抗して身体を引き上げるような意識を指します。

具体的には「背骨を積み上げながら、頭のてっぺんを空へ向ける」ようなイメージです。
こうすると、腰に力を入れるよりも自然にお腹に力が入ってくるようになります。

実際、身体では何が起こっているのか?

通常、私たちの背骨はS字カーブを描いています。
このカーブが強すぎると関節が狭くなって動きが悪くなり、姿勢も崩れてしまいます。

また、重心線が関節軸からずれてしまい、筋肉が過剰に働き疲れやすくなります。

背骨のカーブの図
通常の背骨のS字カーブ。カーブが強すぎると関節が狭くなり、動きにくくなる。

では、「背筋を伸ばすぞ!」と意識して腰を反るようにするとどうなるでしょうか?

腰を反ってしまった場合
背中の筋肉で凹の側から引っ張ることで、腰を反ってしまい、背骨が短くなる。

このように、反らせば良いというわけではなく、むしろ背骨が縮んでしまいます。

では、どうすれば背骨が伸びるのか?

お腹を使ってエロンゲーションする例
お腹の力を使って腹圧を上げ、カーブの凸側から押していくことで、背骨が自然に伸びる。

このように、お腹の力を使って内側から支えることで、背骨の長さを出すことができます。

つまり、エロンゲーションとは「腰や背中のカーブの凸側に力を入れて、背骨を伸ばそうとする動き」なのです。

エロンゲーションのメリット

  • 脊柱の椎間板への圧を軽減し、椎骨の間のスペースを確保できる
  • 体幹が引き上がることで、下肢の動きがより自由にしなやかになる
  • 体幹深部筋(横隔膜・腹横筋・多裂筋・骨盤底筋)の働きを引き出しやすくなる
  • 「伸びながら安定する」=安定と自由な動きが共存できるようになる

このように、関節が詰まって動きにくい状態を改善し、筋肉もより効率よく使えるようになります。

まとめ

姿勢や動きの中で「ただ反る」のではなく、引き上げるような意識=エロンゲーションを持つことで、体は自然と安定し、自由に動けるようになります。

ぜひ日常の中やエクササイズ中に、エロンゲーションを意識してみてください。

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